|
資料(1)施肥と耕耘
作物によっては無肥料でできるものもありますが、たいていのものは無肥料では貧弱なものしかできませんし、長いあいだ無肥料で作ると、土地がやせていって、やがてできなくなります。砂質の土地なら砂のようになりますし、粘土質の土地ならカチカチに固まってしまいます。わたしは経験から「肥料はなるべく少ない方が、健康によい、おいしい野菜ができる」と考えていますが、それにしても、最低限の肥料は必要です。
近代農法と有機農業では、施肥についての考え方がかなり違います。近代農法では作物ごとに「必要な養分」を調べ、チッソ・リンサン・カリをバランスよく与えようとします。化成肥料は、稲用、芋用、豆用、野菜用などと区別して売っていますが、それは作物ごとに理想的なバランスを研究した結果です。この考え方だと、土には余計な養分がない方がよいことになります。土にもともと入っている養分が、せっかく計算して与えた肥料のバランスを崩してしまうからです。極端に言えば、土はただ作物が倒れないように支えるためのものということになり、土を使わない水耕栽培や礫耕栽培が考え出されることにもなります。
近代農法は、自然を調べ上げコントロールするという思想で成り立っていますが、自然はあまりにも複雑で、この考え方はいろいろな矛盾を生んでいます。
作物はチッソ・リンサン・カリだけでできるのではなく、マグネシウム・硫黄・鉄などさまざまな養分が必要で、近代農法でも最近ではそれらの微量要素に注目しているようですが、充分に分析することはほとんど不可能です。
有機農業では、近代農法とは反対に、私たち人間の知識の限界を自覚し、自然をコントロールするのではなく、自然の力に任せるという考え方を取ります。肥沃な土は微生物や小動物がたくさん共存していますが、私たち人間はそれらを排除するのではなく、むしろ全体の活動を活発にして、偏りのない状態を維持するように努めます。植物は有機物を直接養分として吸収することはできないので、微生物の働きで無機化してもらって、初めて養分になるのですが、私たちはその微生物の働きを活発にするために、堆肥や鶏糞などの肥料を畑に入れるわけです。
私は前の作物を収穫して片付けたあと、奪ってしまった養分を補う意味で、鶏糞と石灰を全層に施します(石灰は地下資源由来なので、できれば使いたくないのですが、近頃は強い酸性雨が降り、土が酸性化してしまうので、仕方なく使っています)。そしてつぎに作る作物に応じて、堆肥やボカシ肥を施します。
|